7月19日(金)
北原白秋歌集(110)
中公文庫:日本の詩歌9(北原白秋)より
昭和49年十一月十日初版
歌集「白南風」(2)
天王寺墓畔吟(6)
ほろほろと啼(な)く珠鶏 ( たまとり )のこゑきけば夕日ごもりになりにたらしも
仏にはかかる和をと宣らせこそなどか愛しき闌くる若葉の
吹きちらふ物みな涼し朝(あさ)東風 ( こち )や石塔のうへの藍 ( あゐ )微塵 ( みじん )の花
若葉どき雲形定規かきいだき学生は行く燃ゆるその眼眸(まみ)
生けらくは生くるにしかず朴(ほほ)の木も木高 ( こたか )く群れて花ひらくなり
(つづく)